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Yogibo×ふるさと兼業”対談” -互いに手を取り、助け合い、高め合う。ソーシャルスポンサーシップの可能性- | ふるさと兼業

Yogibo×ふるさと兼業”対談” -互いに手を取り、助け合い、高め合う。ソーシャルスポンサーシップの可能性-

Yogibo×ふるさと兼業”対談” -互いに手を取り、助け合い、高め合う。ソーシャルスポンサーシップの可能性-

2022年1月に「ふるさと兼業」は、株式会社Yogiboが実施する“広告出稿により持続的な社会課題の解決をめざすプロジェクト「TANZAQ」”に採択されました。

採択後に立ち上げたNPO等非営利団体での兼業副業プログラムでは、さまざまな社会課題解決に取り組む5団体と兼業副業プロボノ人材が参画。約3カ月間にわたって協同し、課題解決に取り組みました。

社会課題の解決に対して広告を出稿するとはどういうことか。社会団体に対する人的支援の在り方、効能とはどんなものか。

対談では、広告出稿元(スポンサード)であるYogiboの取締役であり、ふるさと兼業の「TANZAQ」採択にあたっても尽力いただいた大森一弘さんとG-net代表理事・南田が対談。採択の背景や今回のコラボレーションで得た気づきを振り返るとともに、双方が実践する取り組みへの影響などについても意見を重ねました。

成果報告会の様子

 

広告には、「社会課題」に光を当てる力がある

—Yogibo×ふるさと兼業「地域課題解決支援プログラム」が実現した経緯を教えてください。

 

大森:Yogiboが実施する「TANZAQ」にG-net様がエントリーくださったのが始まりです。「TANZAQ」は、社会課題に取り組む団体にYogiboがスポンサーとして広告を出稿することで、ともに社会課題の解決をめざすプロジェクトです。Yogiboではもともと広告活動の一環としてスポーツなど興行へ協賛を展開してきたのですが、興行のファンの方々から感謝のメッセージが寄せられていました。当社が広告を出稿することで、喜んでくれる人がいるというのは、とても大きな気づきでした。そこから、社会課題解決に取り組む団体に対するスポンサードプロジェクトをスタートすることになりました。

 
大森 一弘氏 
長期インターンから入社した事業会社で、新規事業やグループ会社の経営に携わる。地域情報誌の創刊やIT企業での上場準備、Web制作会社等を経てWebマーケティング会社を設立し、新卒採用支援やWEBマーケティング事業を展開。社団法人を設立しインターンのコーディーネート事業、中国経済産業局などの行政や大学と連携した行政事業に携わる。 2021年4月にウェブシャークのSDGs関連事業を担当し、2021年10月に人事や新規事業などの管掌役員に就任。
 
 

 

南田:実は大森さんとは以前からご縁があって、エントリー後の面談で顔を合わせた際は驚きました(笑)。

 

大森:僕はもちろん、エントリー段階で気づいていましたよ(笑)。よく知った団体様からのエントリーもありますね。

 

 

南田 修司
2009年に新卒でNPO法人G-netに加入し、副代表、共同代表を経て2017年より代表理事に就任。インターンシップや副業兼業など15年にわたり、地域と人のコーディネートに従事。2018年に「ふるさと兼業」を立ち上げ、その後も「つながるキャンパス」「東海ヒトシゴト図鑑」など多様な形で、人と地域を繋ぐ仕組み作りを推進。現在は、2026年開学を目指すCo-Innovation University(仮称)の設立事務局への参画や、自治体等と連携した地域の人事部機能の立ち上げなど、新たなモデル作りをスタート。

 
 

 

—南田さんはどのようにして「TANZAQ」を知ったのですか?

 

南田:「TANZAQ」に参画しようとしていたNPO団体の方から紹介してもらったのがきっかけです。「社会課題解決に対して広告出稿する」というモデルはとても斬新に感じました。私たち自身もNPO団体なので、財政基盤が安定しているとは言えません。同様に多くの社会団体が、やりたいことはあっても余力がない、人手が足りない、結果自分たちのできる範囲で無理をしていく、いわゆる自転車操業状態で日々走っているのが現状です。これに対して人的支援に取り組むG-netとして何かできることはないかと考えた際、スポンサードが入ることで手厚い支援ができるのではと期待がふくらんで、エントリーに至りました。

 

—Yogiboにとって、非営利の社会団体に対する広告出稿のメリットとは何でしょうか? 例えば寄付も、活動支援の手段のひとつに挙げられますよね。

 

大森:はい。私は寄付よりも広告出稿の方が、関わる人の相乗効果、いわゆる「三方良し」の実現が大きく期待できる手段だと考えています。

社会課題に対して広告を出稿することで、課題解決に取り組む団体にとっては新たな資金源が得られ、活動を前進させられる。当社としてもYogiboが社会のストレスをなくしたいと思っていることが伝わり、ブランドイメージを高められます。

TANZAQを展開してみてYogiboというブランドには、「社会課題に光を当てる力」があると感じました。例えば、広告出稿先の社会団体さんのWebサイトのアクセス数が跳ね上がったり、SNSで大きく話題になった結果、寄付会員さんの契約数が急増したり、新たな連携先が増えたという声を多くいただきました。。企業による社会団体への広告出稿は、世の中の関心を社会課題に集めるきっかけづくりにも貢献できると考えます。

 

↑シングルペアレント101のオンライン会議の様子。アンケート分析、オペレーション改善などを実施。

 

人材だけでなく、人材を活用するための“機能”を提供

—ふるさと兼業としても、今回のコラボレーションは初の試みだと思います。プログラムを進める中で気づいたことなどお聞かせください。

 

南田:これまで出会えてなかった新たな団体とご縁ができたことは大きな価値でした。ひとり親支援や発達障害ケア、医療的ケア児の支援など、さまざまな取り組みを展開する団体がエントリーしてくださったのですが、以前から存じ上げていたのは1団体のみ。「ふるさと兼業」で支援できる領域がぐっと広がったと感じました。

成果報告会を経て、約3カ月間という短い期間でも、多くの団体が成果を出しているのも印象的でした。参加団体に対してマッチング支援だけでなく、「人材を活用する」機能ごと提供できた意義の大きさも強く実感しました。今回のプログラムで「ふるさと兼業」としては、人材だけでなく人材をどう活用するのか、踏むべきプロセスやフォローアップのノウハウなども提供しました。「これまでプロボノ人材など一緒に何かやることはあったけれど、『できている』のレベルが違ったと自覚できた」といった声も寄せられました。

 

大森:インターンシップのコーディネーターをはじめ、人材活用のノウハウを培ってきたG-netさんの支援によって、参加団体の多くが「互いを理解し、リスペクトし合う関係性を築くプロセス」を実践実証できたのでは、と感じます。共感のもとに集まった人たちも、人となりや考え方などはさまざまです。それらの違いを理解し「自分とは異なる存在」に対する尊重を前提にした上で対話を重ねる。これがとても重要なんです。「リスペクトし合う関係性の構築」とでも言いますか、ひとつになる、というより混ぜこぜになっていくというか。関わる人同士の間にある「境界線」を曖昧にしてくれる作用があるようにも感じられました。これって、すごくいろんな影響を生じさせるのでは、とも思います。

 

南田:大森さんの言うとおり、異なる人が混じり合っていく過程の中でチームができあがってくると、パフォーマンス向上の良い循環に乗れるんですよね。お互い頑張ろう、って意識が自然と芽生えるというか。プロボノの「関わり代(しろ)」の設計って、お金が発生しないぶん難しさもある。関係性の構築を通じて「熱狂を生み出すプロセス」といったのも体感してもらえたのではないでしょうか。

 

↑北海道エコビレッジ、現地会議の様子。SDGs研修の資料づくりなど実施。


「広告出稿」×「社会課題解決」の可能性の広がりに期待!

—改めて、今回のコラボレーションの率直な感想をお聞かせください。

 

大森:境界線が曖昧になる感覚って、どれだけ言葉を尽くしても、実際に体験してみないとわからないと思います。だからこそ境界線が曖昧になっていく過程を相互理解の中で体感してもらえたのはとても大きな意味があると思いますし、これがあらゆるところで体験できる機会が生まれてほしいなと感じました。例えば企業の中での上司・部下の関係性や、大人と子ども、教える・教えられる関係性などでも。

 

南田:約3カ月間という限られた期間でも、課題解決の推進につながった団体も多く見られました。プログラム終了後も継続して活動したいと手を挙げ、今も継続しているチームもあります。団体も人材も、それぞれが次のステージに向かっていく姿を目にすることができて良かったです。

 

—今回の経験を、今後どのように生かしていきたいとお考えですか?

 

南田:マッチングだけでなく、募集設計やプロジェクト中の伴走支援があることで、プロジェクトの質がグッと上がることを確信できました。広く一般に課題を提示して「この指とまれ」と示せるのが、プラットフォームとしての「ふるさと兼業」の価値であり役割。人材への情報発信と、個別の伴走支援機能を生かして、社会課題解決の促進に今後も貢献していきたいです。

 

大森:興行と比べて、社会課題に対する広告出稿へのリーチ数は少なくなるケースもあります。ただ、リーチする人のエンゲージメントは高い傾向があるので、リーチ当りの価値は大きいともいえます。この「価値あるリーチ」を増やす一環として、「TANZAQ」では参加団体がプログラムを通じてどのような活動を実践してきたのかを紹介するコンテンツ発信を強く推奨しています。社会団体にとって、日々の活動に関する発信ってどうしても「手が空いたらやっていこう」となりがちなのですが、本来は優先して取り組むべきことです。社会課題の解決は、まずはいろんな人に「知ってもらう」ことから始まります。「知ってもらうこと」のプライオリティを上げていくのも「TANZAQ」の目的のひとつ。さまざまな団体さまとコラボレーションすることで社会課題解決の文脈の中でどのように露出するのが効果的なのか、事例と実証を集めて数値化してデータとして蓄積することを、今後も推し進めていきます。

 

南田:ソーシャルスポンサーという仕組みは、もっと広がっていってもらいたいですね。この仕組みをYogiboさんが打ち出したことにも、とても大きな意味があると感じます。改めて、「TANZAQ」を考案してくださったことに心から感謝を申し上げます。G-netとしても新しい連携の形を経験し、自分たちが持つノウハウやリソースが、より多くの社会課題の解決に貢献できると実感することができました。今回の経験が、次の一歩に間違いなく生きると思いますし、継続していくことでYogiboさんにも恩返ししていきたいです。

 

大森:成果報告会が終わっていったん区切りとなりましたが、引き続きいろんな相互効果が広がっていくと思っています。お互いに影響し合っていきましょう!

 
このプログラムの関連リンクを記載します。ぜひご覧ください。
 
■ふるさと兼業のTANZAQ採択記について
 
■「Yogibo×ふるさと兼業」にて募集したプロジェクト一覧
 
■成果報告会での報告の様子を公開しています!
 

 

■お知らせ

ふるさと兼業では、非営利団体の皆様にふるさと兼業を活用していただく「ソーシャルビジネス支援プログラム」を開始します!

詳細は11月初旬のリリースをご確認ください。