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岐阜県産の美味しいクレソンをブランディング。4人の兼業人材それぞれが語る兼業の価値。

岐阜県産の美味しいクレソンをブランディング。4人の兼業人材それぞれが語る兼業の価値。

兼業プロジェクトでは、異なる業界で働き、キャリアを重ねてきた人たちがつながります。同じプロジェクトに興味を抱き、企業の思いに賛同した人たちとの出会いも兼業の醍醐味のひとつ。どんな人たちが、どんな思いで参画しているのでしょう。2019年12月にスタートした岐阜県瑞穂市アグリラボの兼業チーム4名にお話を聞いてみました。

■募集プロジェクト

「岐阜のおいしいクレソン」の伝道師に!!広報戦略チームを募集します。

■企業紹介

アグリラボは、岐阜県瑞穂市でレタスやクレソンを水耕栽培している企業。もともとは、岐阜県内で電子機器の検査や部品製造、製造業向けのコンサルティングを行うユニオン電子工業から生まれました。

「電子機器の会社が農業?」と疑問が浮かぶ人もいるでしょう。これは事業の軸を増やし、安定経営を目指す試みの一環。畑違いの事業と思うかもしれませんが、ものづくりの現場の最適化のプロである同社にとって、農産物の生産も実験やデータ分析から改善を重ねられるもの。ユニオン電子工業のノウハウはアグリラボで生かされています。

アグリラボの兼業プロジェクトは、同社の手がける2種類のクレソンのブランディングと広報戦略の立案。業界でも珍しい水耕栽培のクレソン。生でも食べられて栄養価も高いこの野菜の魅力を広めるために兼業チームがアイデアを出し合っています。

■参画者プロフィール

【Nさん/女性/会社員】

普段は岐阜市内の企業に勤め、外国語の資料などの翻訳を担当。以前にPR会社でプロモーションの仕事に携わった経験も。

【Kさん/男性/会社員】

自動車関連の企業で経理財務を担当。グループ企業の若手が集まる勉強会に参加し、そこで今回の募集に興味を持つ。

【Dさん/男性/会社員】

Kさんと同じグループの自動車メーカーで勤務している。海外向けに送り出す新車種の管理などを担当。

【Fさん/男性/会社員】

東京の放送事業社で勤務。テレビ番組の企画制作などに携わる。今回のプロジェクトで唯一遠方からの参加。サブコーディネーターとして、オンラインミーティングの議事録作成、各自のTo Doの整理などを主に担当。

 


 

<兼業のきっかけ> 「経験を生かして」「本職へのヒントも期待」

4人はいずれも兼業プロジェクトへの参画は初めて。どんな思いで手を挙げたのでしょう。

 

Nさん「最初は、新聞で兼業に関する記事を読んで、やりがいが大きいという声に興味をもちました。試しに岐阜市周辺の受入企業を探してみると、アグリラボが見つかって。食や料理も好きな分野なので、クレソンの魅力を発信するという内容にまず惹かれました。また、過去に広報の仕事をしていたので、経験も生かせるのではと思ったんです」

 

Kさん「Dさんも参加している勉強会で、先人に学ぶだけでなく、自分たちが新しい挑戦をしようという話になって、ふたりで応募を決めました。アグリラボを選んだ理由のひとつは、立ち上げたばかりの事業だったから。歴史のある会社が既存の事業を少しずつ変えようとしている。間近に見てみたい。ゼロから始めるお手伝いがしたいとモチベーションが上がったんです」

 

Dさん「Kさんと同じように、プロジェクトの内容に強く惹かれましたね。製造業からまったく別の農業に乗り出しているという話に興味が湧きました。自分も製造業界で勤めているので、今後に生きるヒントも得られるのではという期待もあります」

 

Fさん「私は、テレビ番組の企画を考える上で、地方で実際に起きていることや、視聴者の興味を引く生活や食に関わる話題を、もっと知りたいと思っていました。ご縁あってG-netさんとのつながりもあったので、東京から遠隔にはなりますが、自分の関心のある分野に関わるこのプロジェクトへの参画を決めました」

 

「ものづくり企業が新たに手がけるクレソンの魅力を発信する」。特徴的なプロジェクトのテーマは、全員に強く響いたようです。その上で、「自分の経験を生かせるかも」「本職で生かせる情報や知見を得られるかも」といった可能性も感じて参画しました。

<兼業への不安> 両立への不安を拭う仲間との協力体制

初めての挑戦に期待感とともに不安もあったといいます。

 

Nさん「『兼業でお手伝いして、もしも結果が伴わなったらどうしよう…』と少しネガティブに考えていましたね。無償で関わるからといって、無責任にはなりたくありませんから。受け入れていただいた以上、きちんと成果を残せるようにしようと活動がスタートする前から思っていました」

 

「結果が残せるだろうか」。Nさんのこの不安は、プロジェクトに関わる間も拭えるものではありません。けれど、兼業人材にとって、お客様気分ではなく責任感とともに活動に取り組むのは大切。こんな姿勢が、兼業人材にも、受入企業にもプラスを生むのではないでしょうか。

 

一方で他の3人にはこんな懸念が…

 

Dさん「私が不安だったのは、勤務先の業務上、毎月繁忙期があることです。兼業プロジェクトの課題などを出すタイミングで仕事に追われたらどうしようとは思っていました」

 

Kさん「私もDさんと同じですね。実際、決算期は経理財務の仕事がかさんでしまいました。けれど、Googleなどのツールを使って、事前に私のアイデアや意見を共有できて、助かっています」

 

Fさん「ミーティングは基本的にオンラインです。最初は、Web上のやりとりで細かい意思疎通までできるのか心配でしたが、やってみると遠方からも問題なく参加できています」

 

アグリラボの兼業プロジェクトでは、週1回オンラインでのミーティングを行なっています。アイデアや意見をWeb上で共有するツールも用意されているので、別々の場所で働いていても、日常的なコミュニケーションが可能です。Kさんの言葉にあるように、各自の仕事の都合なども互いに理解しながらフォローし合える関係性も築けているのだとか。

企業と参画メンバーとの間で、各自が最大限のパフォーマンスを発揮できる環境をいかに整えていくかも兼業プロジェクトのポイントになります。

<取り組みの内容> 少人数ならではスピードで事業をカタチに

2019年12月にスタートし、現在も継続中のアグリラボのプロジェクト。最初の2回はオンラインではなく、実際に顔を合わせて、アグリラボの生産現場の見学と消費者のニーズを洗い出すワークを実施。その後は、オンラインミーティングで、パッケージのデザインを決めるため、イメージカラーを決めたり、デザイン案への意見出しをしたり。1ヶ月ちょっとの間で、クレソンの魅力を発信するためのツールやコンセプトが徐々にカタチになっています。

 

「たった1ヶ月でも事業が前進している実感があります。自分はどちらかというと石橋を叩いて渡るような性格なので、本職とは違うスピード感が刺激的です。小さなグループの中で、メンバーが積極的に意見を出して、社長がバシッと決める。とてもやりがいがあります」と語るのはDさん。

 

またFさんは「メディアで完成したプロダクトだけ見ていると、それがどうやって作られたかまではなかなか考えが至りません。商品やそのデザインが出来上がるプロセスを体験できる機会は本当に貴重だと実感しています」と言います。

 

新しい製品のプロモーションを考えるプロジェクトでは、商品が世の中に出ていくまでのプロセスにゼロから参加できます。しかも、少人数のチームで自分自身の意見がダイレクトに反映されるのはとても貴重なチャンス。Dさん、Fさんも兼業で関わりながら、その価値を各々の視点から実感していると窺えます。

 

<兼業の価値> 新しい経験で今までの視点が変わる

兼業してプラスになったことを、NさんとKさんはこう語ります。

 

Nさん「広報に関わった経験が生かせればと思って参加しましたが、すでに持っていたノウハウだけでなく、最新の知識ももっと身につけたいと欲が出て、 マーケティングやブランディングに関する本を読んでいます。改めて気付いた広報の仕事の面白さもあって、兼業したおかげで視野が広がりました。新しい好奇心を持てるのは、とても嬉しいです」

 

Kさん「クレソンを『どんな人がどんな思いで手にとってくれるだろう』と想像するうちに、本職でもお客様への意識が高まったように思います。今までは経理財務の仕事で、どちらかといえば社内の経営陣に目が向いていました。それが、取引先や自動車を運転する人のことも考えるようになったんです。仕事や製品と向き合う姿勢を見直すいい機会になっていますよ」

 

未知の分野に関わったのがきっかけで毎日の景色も変わる。NさんやKさんの声は、そんな兼業の価値を伝えてくれています。

今まで交わってこなかった人と企業が出会い、お互いに新しい視点を得る。そこから生まれる成果は、人材にとっても企業にとっても大きなものになるはずです。アグリラボの兼業プロジェクトも、プロモーション戦略が具体化し実行されていく中で、メンバーにもさらなる成長が生まれるでしょう。

 


 

…ライター後記…

アグリラボのメンバー4人のお話を聞いても、同じ経験から得ている学びは実に多彩です。兼業は、それぞれの積み上げてきた経験を生かせる場であり、新しい経験によって今までの自分に変化や上乗せができる場です。得られるプラスは、プロジェクトの内容によって当然異なります。先輩たちの来歴や兼業で得た成長エピソードに注目して、自分はどんなプロジェクトに関わりたいかじっくり選択してみてください。

 

<クレジット>

※本記事はNPO法人G-netが経済産業省「令和元年度地域中小企業人材確保支援等事業(中核人材確保スキーム:横展開事業)」の補助を受けて作成しています。