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純米本みりんの美味しさを広める。兼業人材と模索する味と発信の新たな可能性。 | ふるさと兼業

純米本みりんの美味しさを広める。兼業人材と模索する味と発信の新たな可能性。

純米本みりんの美味しさを広める。兼業人材と模索する味と発信の新たな可能性。

 

多様な人材とともに、今までできなかったことに挑戦し、企業に新たな動きを生む。この記事でご紹介する「みりん屋 杉浦味淋株式会社」でも、2020年秋から外部人材活用による変化が生まれています。受け入れた人材ふたりの得意分野を活かして始めた、新規顧客獲得に向けた取り組みの数々。どのようにかたちにしてきたのか、代表の杉浦嘉信さんにお話を聞きました。

  受入れ企業概要
■企業名:杉浦味淋株式会社
■業種:製造業
■事業の種類:toC/toB
■企業規模:6名
■他社へのおすすめ度合い(10点中★点)
 ・外部人材活用全体に対して…★★★★★★★★☆☆
 ・事業開発に関して★★★★★★★★☆☆
 ・組織開発に関して…★★★★★★☆☆☆☆
■外部人材の受け入れ経験:過去に複数回の受け入れ経験がある
■受入れフェーズ:自社内にスキルを持つ人材がいない
■企業の抱えている課題:ブランド構築のために、レシピ開発→発信→商品を知ってもらえる入口づくりが急務になっていた
■外部人材の受け入れ期間:2020年11月~2021年2月
■受け入れ人数:2名
■企業HP:https://www.mirinya.com/

 

祖父から受け継いだみりんの味を広めるために

「祖父の創業時のレシピを見つけて、心に感じるものがあったんですよ」。大正13年から今へと続く杉浦味淋の歴史には、いくつもの転機があったといいます。愛知県碧南市は、古くから全国的に良質なみりんの産地として知られてきました。現在、いずれも老舗の五つの蔵がみりんを造り、杉浦味淋もじきに創業100年を迎えようとしています。ろくに材料が手に入らなかった昭和の戦中戦後。大量生産大量消費の高度成長期。祖父から父へ、事業のあり方も時代に合わせて変化してきました。
現代表が家業に携わったのが1990年代半ば、経営を引き継いだのが2000年代のはじめ。当初は決して楽な経営状況ではなかったそうです。蔵を続けるか、潰すか真剣に考えたことも。そんな頃に発見したのが、もち米と麹と焼酎だけで造る創業時のみりんのレシピでした。顔を見たこともない祖父の原点に一度は触れたい。こうした復刻させたのが、看板商品の「古式三河仕込 愛桜 純米本みりん」。18年前、今につながる大きな方向転換でした。
時間をかけて熟成させた、濃い色味と濃厚な味わい。「様々な料理の味わいを引き上げ、食卓の主役にもなれる、三河みりんの美味しさを広めたい」という思いのもと、みりんを使ったレシピ開発や、地元食材とコラボしたオリジナル商品の開発にも挑戦しています。

 

 



 

外部人材を活用した取り組みの始まりは、実は少し前のこと。長期インターンシップの大学生とともに、プロの料理家によるみりんを使った料理の教室を数回開きました。「みりんを使ったイベントはやってみたかったことでした。なかなか新しい人を採用する余裕もない時期に、社内からは絶対に出てこないアイデアを出してもらえたのが良かった」と語る杉浦さん。
その後、一時期インターンシップの受け入れもストップしますが、コロナ禍に社会が揺らいだ2020年の夏、仕事を失うなど苦境にある社会人の外部人材を受け入れてみないかと声をかけられます。
「うちのみりんを知ってもらうために、展示会に出たり、レシピ開発を手伝ってくれる人を探したりしていました。ただ、ほぼひとりで動いていて、できることにも限界がある。Webで発信する内容やデザインを一緒に考えてくれるセンスのある人がいたらいいのにと考えていたので、応募させてもらおうと決めました」。
地元の生産者と開発したみりんを使ったグラノーラとドレッシングのマーケティングや、新商品開発を軸にしたプロジェクトで募集。12名の応募があり、うち2名を受け入れました。

 

外部人材の強みを生かした新たな情報発信

受け入れたのは、関東に暮らす女性おふたり。ひとりは、マーケティングや広報を経験してきたフリーランスの方。もうひとりは、野菜ソムリエの資格を持って様々なレシピ開発に携わっている方。「コロナ禍の影響もあったのかもしれませんが、これを機に兼業をしてみようというスキルの高い人ばかりだった」と杉浦さん。情報発信や商品開発の観点でスキルがマッチするふたりにお願いすることにしました。

 

 


 

週1回オンラインでミーティングを開き、グラノーラやドレッシングに限らず、課題としていた杉浦味淋の発信力向上の方策を検討し、実行していきました。各種SNSの活用、イベントの開催、新しいレシピの開発など、役割分担を決めてひとつずつ実行して、毎週進捗を共有しながら、「次はなにをしようか」と臨機応変に考えていったといいます。結果、Instagramが活性化し、おしゃれで美味しそうな料理の写真が発信されるように。アクセス数の分析なども広報経験者の方がしてくれています。さらに、Facebook上に、オンラインでみりんを購入した人向けのコミュニティもつくりました。限定公開でレシピを公開し、杉浦味淋のファンとつながる場所が生まれつつあります。
当初、2020年秋から2021年春までを予定していたプロジェクトでしたが、ふたりの希望もあり、有償での事業への関わりが現在も続いています。2022年の年明けには、野菜ソムリエの方がみりん料理をレクチャーするオンラインイベントを開こうと企画が進行中。Webでの応募や精算など詳細なオペレーションもふたりが整えています。
「ふたりのおかげで、当社にとって有益な発信や取り組みが実現できています。私がやりたいのは常に、うちのみりんの新規のお客様を増やすための仕掛け。あれこれと可能性を一緒に模索して、積極的に形にしてもらえているのはありがたいことです」と笑う杉浦さん。現在、自社Webサイトのリニューアルにも携わってもらっているそうです。

 

 


 

オンラインだから海外の人材とも仕事ができる

杉浦味淋にとっても初めての経験となった全面オンラインでの外部人材との連携。「Zoomでの会議、メッセンジャーでのやり取り、Googleドライブでのデータ共有。お互いにスムーズに対応できて最初から特に違和感はありませんでした。オンラインでも可能な仕事を用意できたので、住んでいる場所が離れていようと関係なく良いご縁ができました。実は、おひとりの方は途中で海外に移住したんです。それでも関わり続けてもらえているのが、新しい“ともに働く者同士のつながり方”なのかと感じています。オンラインだからこそ、お任せしたい人と長くご一緒できるのは大きな利点ですね」。

 

  プロジェクト結果概要
■人材の条件
・関わり方:兼業
・頻度:月4~8時間/週1回程度のMTG(オンライン)
・完全リモートで実施
■必須条件や歓迎条件
・コミニュティー作りやグループ・団体の主催経験のある方
・料理レシピを開発、写真撮り、まとめ、発信できる方
■兼業者の経歴
・料理研究家・野菜ソムリエproとして活動
 料理講座、レシピ開発など料理を通して野菜果物の魅力を伝えたり、また子供たちへの食育活動などを実施
・NPO法人の代表理事。
 今回のプロジェクトでは、コミュティ作成・運営の担当として活躍
■コーディネーターの役割
外部人材プロジェクトに対するポイントを開始前に杉浦社長にお伝えしました。人材の企業への共感値が高かったため、関係構築に時間がかからなかったが、オンラインという環境やお互いに初めての挑戦ということもあり、最初の顔合わせ・ミーティングの進行を行いました。

■結果
みりん屋ファンコミニュティーグループが出来上がり、2月下旬より順次新規購入者に向けて、案内をしてグループ参加を呼び掛けることができました。ページ内では、購入者のみに向けて限定のレシピを公開していく。また、インスタにも料理画像をアップすることで、購入を促すことや、コミニュティの存在をPRすることができた。また、新たな企画のアイデア出しなども定期打合せ時のディスカッションにておこなうことができた。
引き続き、ストック150余りのレシピを公開していくことや、碧南周辺の飲食店とも連携しながら、コミュニティの充実をはかっていく予定。
2名ともに継続して業務に関わり、定期的に打合せも実施している状態である。


※「令和2年度中部経済産業局における地域中小企業・小規模事業者の人材確保支援等事業(次世代コア人材)」によりプロジェクト支援を実施

 
※本記事はNPO法人G-netが中部経済産業局「令和3年度中部経済産業局における地域中小企業・小規模事業者の人材確保支援等事業(次世代プロジェクト共創人材確保事業)」の委託を受けて作成しています。