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副業人材との協業をきっかけにあふれ出た社員の思いが、特産品を盛り上げる原動力に。 | ふるさと兼業

副業人材との協業をきっかけにあふれ出た社員の思いが、特産品を盛り上げる原動力に。

副業人材との協業をきっかけにあふれ出た社員の思いが、特産品を盛り上げる原動力に。

地域の特産品を広める拠点として30年続く道の駅「美濃白川」を生まれ変わらせることを目的に、有限会社白川町農業開発で行われた副業人材とのプロジェクトは、時代の移り変わりとともに山積した課題の解決に向けて、一石を投じるものになりました。「新しい働き方会議2022」で出会った3名の副業人材による改革は、道の駅で働く社員たちにも多くの刺激がありました。同社にとって初となる副業人材とのチャレンジがどのように進められたのか、プロジェクトメンバーの一人である中村さんに話を聞きました。

 

 

  受入れ企業概要
■企業名:有限会社白川町農業開発
■業種:製造・小売業
■事業の種類:toC
■企業規模:社員11名・パート従業員13名
■他社へのおすすめ度合い(10点中★点)
 ・外部人材活用全体に対して…★★★★★★★★☆☆
 ・事業開発に関して★★★★★★★★☆☆
 ・組織開発に関して…★★★★★★★★☆☆
■外部人材の受け入れ経験:無し
■受入れフェーズ:自社内にスキルを持つ人材がいない
■企業の抱えている課題:茶葉の売上の低迷
■外部人材の受け入れ期間:2022年10月~2023年9月
■受け入れ人数:2~3名
■企業HP:https://roadside-minoshirakawa.co.jp/

 

 

お茶産業の課題解決の一手に

白川町農業開発は、1993年に白川町と農業協同組合の出資によって設立された第3セクターの企業です。設立当初から、「道の駅 美濃白川ピアチェーレ」の運営や、併設された工場での「白川茶」と「白川ハム」の製造をしてきました。製造と販売の機能を兼ね備えた道の駅は全国的にも珍しい形態です。味と香りが自慢の「白川茶」、国産豚を使った「白川ハム」、主に2つの特産品を広める役割を担ってきました。
町の職員であり、3年前から白川町農業開発に出向している中村さんは、道の駅や白川茶の現状について、以下のように語ります。

 

中村さん「美濃白川ピアチェーレは、全国的にも早い時期に作られており、岐阜県内では5番目の道の駅です。立地や交通の条件もよく、多くの方にご利用いただいてきました。しかし、近年はコロナ禍の影響もあり、客足の回復が課題となっています。
加えて、設立当初と比べると、全国的なお茶の需要低迷もあり、白川茶の販売量、販売額が年々減少し、それに伴って生産量も減少しました。また、生産農家の高齢化もあり、白川茶が衰退してきています。そのため、生産者のみなさんを後押しし、お茶産業を盛り上げるために何か新たな手立てが必要でした。」

 

 

課題の解決策を考える中で、副業人材を採用する方法を知りました。コーディネーターから話を聞き、未知の挑戦に迷いもある中、社内で検討を重ねました。

 

中村さん「ちょうど社内で、トップダウンではなく現場主導の改善を進める風土を築こうとしていたところであり、副業の方に入ってもらった場合、そのプロジェクトを誰が進められるのか、検討を重ねました。最終的に、社長自らがプロジェクトの責任者となり、「新しい働き方会議2022」への参加を決めました。」

 

こうしてプロジェクトが走り出し、社内からは社長、中村さん、お茶の工場長、売店のスタッフの4名が関わることになりました。

 

 

社員の胸に秘めた思いが引き出される

白川茶の産業全体の盛り上げを目指し、今回のプロジェクトではまず「道の駅でのお茶の売上120%アップ」を目標としました。具体的な取り組みは、白川茶をPRするための施策の立案やコンセプトの考案など。副業人材を募ると、全国各地から30数名の応募がありました。予想以上の反響に中村さんも驚いたそうです。

 

書類選考で10名に絞り、グループ面接と個人面接を経て3名を採用しました。いずれも関東在住の、男性Aさん、女性MさんとSさんです。Aさんは、同時期に白川町で別の事業に副業で参加しており、年齢や経験的にリーダーを任せられる人でした。Mさんは、グループ面接時の応募者同士でのディスカッションの取り回しがとてもうまく、コミュニケーション能力の高さが光っていました。Sさんは、ブランディングやマーケティングの業務経験があり、企画をまとめる上で力を発揮してもらえる人でした。それぞれの経験値や強みをしっかりと見極めた上で、求める力を持った人を選抜しました。

 

そして、2022年10月中旬にプロジェクトが本格的に始動。初回は、3名が白川町へ足を運び、現地を見ました。道の駅と自社の工場をはじめ、近隣の販売店や農家も見学し、生産者の話を聞く機会も設けました。
その後は週1回のオンラインミーティングで話を進めました。オンラインミーティングには、副業人材の3名、白川町農業開発の4名、コーディネーター2名、白川町からも職員数名が参加。最初の1ヶ月程度は、副業の3名からのヒアリングを中心に、改めて課題を整理しました。
外部の目線で現場の声を引き出した効果は大きかったと中村さんは話します。

 

 

中村さん「工場長やスタッフから、これまではなかなか聞けなかった声がたくさん出てきました。特に工場長からは、自分がどんなお茶をつくりたいのか、そのためにどんな茶葉が必要か、お客様に何を知ってもらいたいか等の思いがあふれてきており、本人も、改めて自身の思いを口にできたことが嬉しかったようです。」

 

 

情報発信の強化、売店の改善。生み出された5つのアイデア

現場の率直な声も受けて、解決すべき課題がより明確になりました。続けて、課題に対して何をしていくかアイデアを出し合いました。他社の事例など情報収集もしながら多くの案が出されました。例えば、「白川茶に関する発信を強化するために町内に看板を設置」「お茶の種類が多いため、味の違いがわかるPOPの作成」など。予算やマンパワー等の事情を考慮して検討した結果、「お茶の味を伝えるキャッチコピーの制作」、「お茶の飲み比べができるお茶うけ付きの試飲セットの販売」、「売店にお茶を焙煎する香りを漂わせるなど売店の改善」、「売店でのお茶の説明用スクリプトの作成」、「お茶と一緒によく購入される商品とのセット販売」の5つに整理されました。

12月頃に方向性が固まり、以降はメンバーを3つのチームに分けて各案を練り上げていきました。考えるだけでなく、セット販売を試験的に実行するなど、できることは実施しながらブラッシュアップをしていくという、スピード感もありました。翌年2月に「新しい働き方会議2022」の報告会が行われた後も副業を継続し、3月までかけて企画を完成させました。お茶のキャッチコピーを載せたPR画像も出来上がり、売店のデジタルサイネージで使用されています。さらに、MさんとSさんは9月まで関わり、他のアイデアも実現させるための試行錯誤を重ねました。また、このプロジェクトについて町内の茶商たちにも報告し、道の駅だけでなく町全体でアイデアを共有する場も設けられており、課題解決や改善の取り組みが今も続けられています。

 

 

社外の人材から多くの学びと気づきを得る

初めての副業人材とのプロジェクトを終えて、中村さんに成果や教訓を総括してもらいました。

 

中村さん「以前はお茶を飲んでもらい、おいしければ買ってもらえるというありがたい状況がありました。しかし、お茶の需要自体が徐々に減少し、コロナ禍では今までのやり方が通用しなくなりました。解決に向け、何をすべきか分からず、なかなか動き出せずにいましたが、副業人材による外からの視点が入ったことにより、やるべきことが明確になりました。お客様の視点に立った考えができるようにもなったと思います。
また、社員たちの素直な思いを聞けたことも良かったです。コーディネーターや副業人材のみなさんに、良い点も悪い点も包み隠さずに伝えたからこそ、的確な改善案ができたのではないでしょうか。さらに、コーディネーターから採用選考の仕方、企画のまとめ方など、プロジェクトの進行方法にたくさんアドバイスをいただいたことも、当社にとって学びとなりました。」

 

副業人材の採用による事業進展や課題解決の効果を実感したという中村さんは、今後、異なるプロジェクトで多様な人材の力を借りることも検討しているそうです。白川茶の未来が気になるこの事例。本プロジェクトで変わり始めた道の駅へ足を運ぶと、成果がよく分かるかもしれません。

 

 

  プロジェクト結果概要
■人材の条件
・関わり方:副業
・頻度:週1回のミーティング(初回は現地で顔合わせを実施、以降はオンライン)
■必須条件や歓迎条件
〈歓迎スキル〉 ・マーケティング経験のある方 ・商品開発の経験のある方
〈歓迎マインド〉 ・日本茶に興味のある方 ・地域活性化に興味のある方
■副業者の経歴
・大手教材会社に入社しマーケティングを担当、大手通信会社に転職し、新規事業開発。現在、部長としてグループ会社の経営、事業戦略、調達、コールセンター業務などを担当。得意なことは、サービスの戦略、マーケティング、収益化。
・健康食品通信販売会社に3年勤務し、コールセンターオペレーター・運営管理、商品企画開発を担当。化粧品(スキンケア)OEMに転職し7年勤務。法人営業/商品企画開発を担当。現在、化粧品・健康食品・雑貨ベンチャー企業で、マーケティングを担当
・外資系メーカーに4年勤務し、ヘルスケア製品のマーケティングとセールス、その後2.5年間は、事業の管理会計を経験。ファイナンスとして、事業の収益予測、中長期計画作成の支援も担当。現在、シンクタンクに転職して、事業拡大・開発のコンサルティングを担当。
■コーディネーターの役割
ミーティング時のファシリテート。企業側も兼業者側も初めて、このようなプロジェクトに参加するという人が多かったので、できるだけ全員が発言するように気を配った。また、事前に次回話すことを伝えておき、考えてメモをしてきてもらうことで、しっかりと意見が言えるようにサポートを行った。人数も多かったので、チーム制にしてブレイクアウトルームを有効に使うなどするよう提案を行った。
■結果
販促のための案を検討、5案に絞り、それぞれ担当をつけて、進めていった。どれも販促の土台となるような案なので、すぐに効果が出るものではないが、やらなければいけないと感じていたが出来ていなかったところに、外部人材が入ることで推進力となり進めていくことが出来た。

※「令和4年度中部経済産業局における地域中小企業・小規模事業者の人材確保支援等事業(次世代プロジェクト共創人材確保事業)」によりプロジェクト支援を実施

 
※本記事はNPO法人G-netが中部経済産業局「令和5年度中部経済産業局における地域中小企業・小規模事業者の人材確保支援等事業(副業・兼業等外部人材活用事業)」の委託を受けて作成しています。