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旅する兼業第4弾 岐阜県 多治見~茶碗まつり編~ | ふるさと兼業

旅する兼業第4弾 岐阜県 多治見~茶碗まつり編~

旅する兼業第4弾 岐阜県 多治見~茶碗まつり編~

旅する兼業第4弾!今回はまたも岐阜県。日本で1-2を争う暑い街、多治見!
美濃焼で有名な多治見市で、たじみ茶碗まつりを開催しているとのことで、今回は1店舗の売り子として旅する兼業をしてきました。

■旅する兼業とは?

 

長期休みの帰省や旅に併せて、訪れた地域で働く。そこでの報酬を握りしめて夜の街ではしご酒!ただの労働ではなく、旅なんだけど仕事。仕事なんだけど旅。そしてさらには弟子入りさせていただく師匠の仕事観にも触れられる研修にもなる。

受け入れ側は、繫忙期になぜか「働きたい!」と息巻いて参加する人と楽しく繁忙期を乗り切り、稼いだお金をそのまま地域に落としてくれる。参加者良し、企業良し、地域良しのプログラムです。

地域で働くことにはもっとグラデーションがあって良い。そんな思いで「旅する兼業」やふるさと兼業を運営しています。GWやお盆に4~5日滞在するものから、今回のように1泊2日でのお試し兼業も。

報酬を得ることよりもそこでの経験・共感する人の傍で考え方を聞き続けることを目的としています。

 

 

■ 美濃焼は陶磁器の中での生産量、日本一!
 

美濃焼は、岐阜県の東濃地方で作られた陶磁器の総称です。日本で一番作られている陶磁器は美濃焼なんです。

たじみ茶碗まつりは、そんな美濃焼のメーカーさんや商社さんが集った多治見美濃焼卸センターが主催となって実施しており、会場も工業団地の中にあります。

▲2日間で20万人が訪れる一大陶器祭り

落とすと割れる茶碗を扱う、スリリングなお祭りで、旅する兼業開始です。

 
■ 呼び込み、背中を押す接客

過去3回の旅する兼業では基本的にお越し頂いたお客さんにいかに心地よく楽しんでらうか・いかに早くサービスを提供できるかが肝だったわけですが、
今回はスピード感よりも、いかに足を止めてもらうか。足を止めてくれた人にいかに購入してもらうか。を求められる現場でした。

  • 呼び込みのセリフも“マグカップ” “スープカップ”と何を売っているかを明確にする
  • 購入率が高い女子・主婦が反応しそうなワード“かわいい” “カラフル” ”映える”を多用
  • 目立つはっぴを着て大声出してみる

▲美濃焼マイスターのはっぴを美濃焼初心者が着て接客する

そして来てくれたお客さんを繋ぎとめるための工夫も。
ほかの店舗がしていることを視察しながら、よりお客さんの目線に立って考えます。

  • 手に取った商品と同じものをお勧めしてみる
  • POPを作って共感を呼ぶ
  • タメ口で話してみる(方言が使えると尚良し)
  • 背中を押してほしそうな人には積極的に声をかける(見極めが難しい)

▲実際に持って「軽っ!」と言ってくれるお客さんを見るたびにニヤニヤしてた

 

50点ほど出していた商品も、何が売れ筋なのかわかってき.たり、大方の値段も把握できるようになり、ついには受け入れ先である光陽陶器のことを「うちの会社」と呼ぶようにまでなっていきました

一緒に行った真奈美ちゃん(社外同期のような存在)は、飲食店向けの食器メーカーさんだったので、客層の違いなんかを「うちの会社は~」「うちの商品は~」とお互いに話せたのも面白かったです。
 
■地域に行きたくなる理由は人にある

今回初の試みだったのは、全く知らない人たちの元へ兼業をしに行くということ。
今までは事前に何らかの繋がりがあった人の元へ飛び込んだのですが、今回は完全に初対面の企業さん。
受け入れてもらえるかしら……どんくさいやつ!と𠮟られたら凹む……そんな不安を抱えながらいざ会場へ。
そして開始5分で、あ、ここは心地よいチームだ!と気づきました。

とても大きな存在としていたのが、社長の奥様、かずさん。
新参者の私にどんどん話しかけてくれたり、質問してくれたり、お菓子をくれたり。
「発言していいんだ!」と思えることって安心感に繋がるなと、ここでも新入社員の気持ちに戻りました。

こちらももちろん積極的に話に行くことは必要だけど、やはり口火を切ってもらえると心強い。そして意図してかせずしてか、そういったことが出来る「お母さん」的キャラの方がいる組織ってすごく心地よいものになると思います。

そんなかずさんは、もともとは四国の出身。陶芸に関心があって、東京の短大を出た後に多治見で陶磁器の勉強をしに来たそうです。そこで出会ったのが今の社長(当時は後継者)。

素敵なストーリー過ぎない!?!?
夢を追いかけ、そして今、その夢に一番近い職場で働いている。良いなと思った食器を自分の目とセンスで仕入れ、卸す。思い返すとストーリーになっているように思うだけなのかもしれないけど、かっこいい人生だなと思います。

 

そして社長も素敵でした。
何故工業団地化して同業種と同じ区間に工場を持つのか?ということを聞いた際に、集団の強さをお話してくれました。
「競合ではあるけど、一緒の団地にいることが、集団の強さを作っている。地域内の力も持てるし、だからこそこんな大きな祭りを開催できる。」
ほんとそうですよね…2日で20万人来る祭りを42回もやれるって相当だな…と思っています。

▲うちの社長(右:面倒見良く、本当に素敵な方です)

光陽陶器は42回やっているたじみ茶碗まつりのうち、42回フル出場らしい。(すごくない!?!?)
苦しい時期とかもあるだろうに皆勤賞。地場産業の奥行きを感じました。斜陽産業だと言われても、集団の強さを身に着け、地域の色を出し、そして続ける強さを感じることが出来ました。

そして、死ぬほど使いこなされている言葉だけど、地域に行く理由はやはり「その地域にいる人」だよねと旅する兼業初めてn回目の気づきを得ました。

 

■旅する兼業をする意義

今回も大変楽しい2日間だったのですが、難しかったなと思うこともありました。
企業さんと初めましてであるが故に、なぜ私がここに来ていて、何をやりたいと思っているのか気持ちのシェアがなかなか出来なかったことです。
所属よりも、出身などの自己紹介が主であることにいつもとの違いを感じながらも(それはそれで一個人として見て頂けている嬉しさはある)、普段どんな仕事をしているのかや、休みを使って働きに来るクレイジーなところなど、私のアイデンティティの一つであることをもっとお話すべきだったなーと。

最後の打ち上げでそのお話ができたのはとても嬉しかったです。

同時に、なんで参加するのか、自分で言語化したうえで兼業をすることの重要性も感じました。

  • 社外で何かを学びたいから
  • パラレルキャリアに憧れているから

と思っている人と

  • 会社に依存しないスキルを必ずや自分のものにしたいから
  • 本業とはちがうこの業界のことを、業界社員と同レベルで考えられるようになりたいから

と思っている人とでは、同じ作業を同じ環境でやっていたとしても全く違うアウトプットが生まれるはずです。当人の動きも全く違うはずです。

自分が自分の思いをどう自覚しているか?はある程度把握しておくことが重要だなと思います。
その意図が分かっているだけで、何か迷った時にはそこに帰ってこれるし、自分の行動を振り返ったときの指標にもなる。そしてその目的は、途中で変わっても良く、自分にとっての価値がどこにあるかはその都度考えてみることが大事です。

できれば、自分にとっての価値はこれです!と企業に伝えてみること。
よりお互いにとって有意義な時間に繋がると思います。

私の場合は企業がどんなことを考えているかをもっと掘り下げたかったなと今では思います。経営についてあれこれ話してみたいし、美濃焼業界に対して思ってなんなのだろう?とも気になる。今度行ったら絶対聞こうと決意しました。

 

■多治見を堪能したもう一つの推しポイント

実は祭りだけではなかったもう一つの楽しみポイントも最後にご紹介です。
今回地域内の移動手段&宿泊場所が最高すぎました。多治見のベンチャー企業エネファントさんの「働こCAR」というサービスを使って地域を巡りを敢行。(本当にありがとうございます!)

▲EV車を充電する体験もしちゃった。

そしてそして宿泊先も…素敵過ぎました。多治見ゲストハウス「円空」です。至れり尽くせりでおぼれてしまいそうな旅になりました…!

会いに行きたい人が出来て、普段はいけないところにも足を延ばせる手段もある。これはもう、来年の茶碗まつりも行くしかないです。(私はもう行くと決めています)

▲1個100円可愛いはしおき(激お勧め)

可愛い美濃焼と、熱い社長たちが待っている、暑い多治見に!是非お越しください!そして一緒にみんなにとって楽しくて面白い兼業って何なのか、考えていきたいですね。

 

おわり。