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はじめての兼業募集。受入企業の苦悩とワクワク。

はじめての兼業募集。受入企業の苦悩とワクワク。

 

こんにちは。ふるさと兼業で鹿児島エリアの地域連携パートナーをしておりますマチトビラの末吉と申します。鹿児島エリアでは、本年度はじめて3社の兼業プロジェクトを公募しました。本記事では、はじめての兼業人材活用に向けて取り組み始めた経営者の心境や期待をご紹介いたします。

 

■受入プロジェクトと企業紹介

▼①株式会社BAGN
鹿児島と東京に拠点を持つ「株式会社BAGN」。プロミュージシャン坂口修一郎氏が2014年に設立し、数々のクロスカルチャースタイルの体験型イベントをプロデュースするほか、都内で物産展「OK SHOP」の展開や、カフェ「BE A GOOD NEIGHBOR COFFEE KIOSK SENDAGAYA」の企画など、その事業は多岐にわたる。
森の中の廃校を活用して、人々が集うコミュニティを創る

 
▼②ヤマサハウス株式会社
鹿児島の新築住宅市場においてNo.1のシェアを誇る「ヤマサハウス株式会社」。1948年の創業から地域に根ざし誠実に実績を積み重ねてきた高い信頼と、「木へのこだわり」と「伝統と美しさの調和」をコンセプトにした職人の技は、ハウスメーカーとしての質の高さはもちろん、河川工事や港湾整備など地域の発展にも大きく貢献している。
 
▼③株式会社無垢
2007年に霧島市でインターネットを中心に出産祝いに特化したギフト商材を販売する「株式会社無垢」を創業。経営者やスタッフ自身の子育てをヒントにした商品が大ヒット。2017年4月にはグループ企業として霧島市で「ひより保育園」を開園し、保育事業に参画。2018年3月には姉妹園となる「そらのまち保育園」を鹿児島市天文館に開園。2019年12月より鹿児島県霧島市の観光施設「西郷どん村」の運営を行う。
 

 
 
| 最初の期待は「優秀で共感してくれる人材確保が出来そう」
 
3社に兼業導入の声掛けをした際は、「フルタイム雇用よりも、優秀な人材を獲得出来そうな気がする」「想いに共感してくれる人材はとても貴重」「人材獲得にはアレコレしてみないといけない時代。チャレンジしてみる価値はあると思った」など、各社とても前向きな反応でした。
 
3社とも、「やりたいけどやれていないこと」が沢山あり、優秀な人的リソースの確保は重要かつ恒常的な経営課題となっていました。
 
「やりたいけどやれていないこと」はまさに三者三様。「社会性が高い新規事業の持続可能性を高めたい」「経営の戦略性を高めたい」「当事者意識を持って、考え、行動し続ける組織を作りたい。そのための人事制度の見直しがしたい」「地方ならではの豊かさを発信したい」「新規事業の立ち上げを進めたい」「自社では弱い〇〇を補完したい」など多岐にわたる経営課題が挙がっていました。
 
 
| 導入ハードルは「プロジェクト設計の難しさ」
 
そんな経営課題の中からどんなプロジェクトを設計しようかと考える段階では、「どんな人材が応募してくれるかわからないから、設計するのが難しい」「人材側の『やりたい、やれる』がわからない…」「遠隔で出来そうな業務を切り出すのって難しい」「状況が目まぐるしく変わっているから、エントリー時点だと関わってほしいことが変わっているかも」というお声をいただきました。
 
鹿児島の場合は、おおよその人材像を描き、人材側の「やりたい、やれる」と言った側面と、企業側の「やりたい、やれる」の双方向を何度も往復し、最終的には「メイン案件とサブ案件の複数提示」や「持ち込み企画歓迎」といった少し幅広のプロジェクトで募集することになりました。
 
 
| 予想を超えるエントリー
 
いざ募集をはじめてみると、予想を超える反響で3社とも非常に驚いていました。質・量共に一般的な求人では考えられないほどのエントリー。連日エントリーが鳴りやまず、面談調整などで嬉しい悲鳴を上げていました。
 
人材の皆様の属性は多種多様でした。おおよそ「勤めている方」と「フリーランス・経営者」に大別できますが、割合としては「勤めている人」のエントリーが多いようでした。
 
ニーズは様々。「取り組みに共感した。何か手伝いたい」「関心を持っていた事業領域だった」「〇〇さんと一緒に働いてみたい」など。中には「前々から気になっていた。いつか関わりたいと思っていた」といった潜在的な応援団からのエントリーもありました。
 
皆さん、キャリアも志望動機も様々ですが、熱い想いをもっていらっしゃっており、受入企業3社は選考には非常に苦労していらっしゃいました。
 
 
| 「やりたい!」が「やれる。やろう!」に変わる瞬間
 
人材側のキャリアや志望動機を鑑みながら、改めて各社プロジェクト設計をしなおしました。中には思いもよらないプロジェクトになった例も。
 
株式会社 無垢のプロジェクトにエントリーしたとある方は食品メーカーで研究職経験のある方。その方の経歴を見て、無垢のスタッフは「私たちのグループの保育事業でやりたかったことを思い出しました。その保育園では、子供たちと一緒に『食』との丁寧な関わりを持っています。良い食べ方をしていくと、良いウンチが出るはず。うちの保育園に通うとどんなウンチになるかを分析して、客観的なデータに基づいた情報発信がしたい。でもなかなかプロセスがイメージできないんですよね」という旨のことをおっしゃいました。
 
その言葉に対し、エントリー者は「とてもいいですね!それならこんな方法があります。〇〇の分析ならば〇日くらいで結果が出ます。1件あたり〇円くらいかかるのが相場ですね。知り合い経由でもう少し安くできるかもしれません。近しいことをやったことがあります。」といった返答。
 
双方の「やりたい、やれる」が一致し、企業も人材もコーディネーターも、全員の温度感が上がった瞬間でした。他のマッチングでも同じようなやりとりが生まれています。これから生まれてくる事例がとても楽しみです。
 

 
| ライター後記  /  よし。これなら今やろう!
 
鹿児島では、実際にプロジェクトを開始するのはこれからとなりますが、兼業プロジェクトを実施するためには、それなりのコストがかかります。
 
特に「経営者の時間」というコストは大きいものです。この取り組みを進めるに当たって「何のための取り組みだっけ?」「どんな組織を目指すんだっけ?」といった経営の本質に向き合う必要もありますし、実際のプロジェクト実施にもかなりの工数がかかります。
 
それらは当然大変で、猛スピードで走っている企業ほど、「うーん機会があれば…」と先送りにしがちです。
 
そんな折、自分たちのやろうとしていることに共感してくれて、面白がってくれて、かつそれを実現できるだけのキャリア・能力を持った人が目の前に現れて、やりたいと思っていたことが、とうとう一歩前進しそうな予感がする。
 
「緊急度は低いけど重要度が高いこと」に向けて「よし。これなら今やろう!」とアクセルを踏める機会となりえるということが、企業にとっての一番の価値なのかもしれません。
 
 
<クレジット>
※本記事はNPO法人G-netが経済産業省「令和元年度地域中小企業人材確保支援等事業(中核人材確保スキーム:横展開事業)」の補助を受けて作成しています。