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兼業人材の力を借り、タイルを使った“新しいジュエリー”の周知へ | ふるさと兼業

兼業人材の力を借り、タイルを使った“新しいジュエリー”の周知へ

兼業人材の力を借り、タイルを使った“新しいジュエリー”の周知へ

日本有数の陶磁器産地・岐阜県多治見市に位置する「鈴研.陶業」は、役物タイル(建物のコーナー(角)部分に使用するタイル)の生素地製造を行う会社です。近年スタートしたタイルを使ったオリジナルアクセサリー「七窯社」を展開。美濃焼タイルの魅力発信にも力を注いでいます。

 

美濃焼タイルの可能性を広げ、さらなる魅力の発信につなげたいと、タイルと貴金属パーツを組み合わせたジュエリー開発をスタート。新商品を多くの人に知ってもらうため、発信のノウハウを持つ兼業人材との協働に挑戦しました。

 

  受入れ企業概要
■企業名:有限会社 鈴研.陶業
■業種:製造業
■事業の種類:toC/toB
■企業規模:30名(フルタイム6人/パート24人)
■他社へのおすすめ度合い(10点中★点)
 ・外部人材活用全体に対して…★★★★★★★☆☆☆
 ・事業開発に関して…★★★★★★★★★
 ・組織開発に関して…★★★
■外部人材の受け入れ経験:過去に複数回の受け入れがある
■受入れフェーズ:自社内にスキルを持つ人材がいない
■企業の抱えている課題:新ジュエリーブランドを立ち上げる予定だが、資金調達に難がある。またブランディングも専門家の意見が欲しい。
■外部人材の受け入れ期間:2021年11月~2021年3月
■受け入れ人数:2名
■企業HP:https://nanayosha.com/

 

 

高級感のあるジュエリーで、タイルの価値・認知度向上をめざす

建物やインテリアなどに使われるタイルは、日光や風雨にさらされても経年変化が起きにくいのが大きな特徴で、多治見市は日本最大のタイル産地として知られています。タイル産業の一端を担い続ける「鈴研.陶業」では、タイルを使ったアクセサリー事業を展開しています。美濃焼タイルがどんなものかを知ってもらうきっかけをつくりたいとの思いからスタートしたこの取り組み、代表取締役の鈴木耕二さんによると、発端は学生インターンシップのアイデアだったそうです。そして、さらなる展開を見据えて着手したのがジュエリーライン「Re.Juile(リジュイル)」の立ち上げでした。

鈴木さん「コンセプトは『手間をかけて価値をあげる』。上モノには廃棄予定のタイルと釉薬を再利用したアップサイクルのパーツをあしらい、ジュエリーパーツは銀または14金製です。新たなジュエリーラインの立ち上げにあたりアクセサリー事業でもお世話になった作家さんの協力のもと企画開発を進め、新商品開発の補助金申請も行いました。さらに、日本最大のジュエリーの展示会『国際宝飾展』の出展も決めました」

 

新たな挑戦に向けて着々と歩みを進める中、ひとつの課題が残ったままでした。情報の発信です。どれだけ良い商品を作って、展示会でお披露目したとしても、それだけでは弱い。けれど、どうやって発信すれば良いのかわからない。どうしたものかと考えを巡らす鈴木さんに、学生インターンシップ受け入れをサポートしたG-netのコーディネーターから「兼業人材を活用してみては?」との提案がありました。鈴木さんにとって、兼業人材とともに仕事をするのは初めてのこと。当初は不安もあったそうですが「学生インターンシップ受け入れを経験していたのもあって、兼業人材受け入れの事例を聞いたら、なんとなくイメージできるようになりました。何より、兼業人材の受け入れでもG-netのコーディネーターさんがサポートに入ってくださるとのことだったので安心感もありましたね」と笑顔を見せます。

 

資金調達+PR=クラウドファンディングに挑戦!

兼業人材の活用と併せてコーディネーターから提案されたのが、クラウドファンディングへの挑戦です。クラウドファンディングの特徴や活用事例なども紹介され、新たな取り組みの周知ができ、なおかつ資金調達もかなうといった一挙両得の方法に、鈴木さんは大きな可能性を見出しました。

鈴木さん「募集する兼業人材も、クラウドファンディングに関する経験を持つ方を中心に選考しました。結果としてマッチングできたのが、クラウドファンディングで出版社立ち上げの資金調達を成功された方と、クラウドファンディング運営会社の勤務経験がある方。このおふたりと、私を含めた当社の社員5人がチームとなってプロジェクトを始動しました」

 

始動にあたり兼業人材を多治見に招いて現地視察と取材を行い、懇親会も開きました。「おふたりとも多治見に来るのは初めてだったようで、タイルづくりの工程も目にしてもらえて、風景や文化なども直に感じて面白がってもらえたのは良かったです」と振り返る鈴木さん。その言葉に、「知ってもらうことの大切さ」をしみじみと感じている様子がうかがえます。クラウドファンディングのスタート日は国際宝飾展の出展当日に設定。製品開発を進めるのと並行して、プロジェクトチーム内では公開までに必要な準備を進めることになりました。

 

プロジェクトを通じて、兼業人材の興味関心の幅の広さや知識の豊富さ、頭の回転の速さには驚かされたそう。例えば、頭に浮かんだアイデアや素朴な疑問に対しても、過去にあった事例の解説があったり「こういうことってできますか?」といった質問にも丁寧な回答があったり。疑問・質問に対するリアクションだけでなく、「やるべきこと」に対する対応も非常に素早く、鈴木さんは「僕らのほうが、ついていくのがやっとというくらいでした」と言います。

 

また、スピードが速いぶん密度も濃く、「社員の学びの機会も多かった」と鈴木さん。例えば、これまで苦手意識のあった、文章の作成や写真素材の扱い方など、「情報の魅せ方」のノウハウも学べたそうです。

 

経験・知識のある人のパワーは大きい。一方で遠隔でのコミュニケーションには課題も

2022年1月、国際宝飾展に出展。当初、鈴木さんは「新しいものとして面白がってもらえるのでは」と予想していました。しかし実際は、「希少性の高い天然の石を加工することに価値がある」という業界の核となる常識から、大きく外れていることから厳しい意見を向けられたり難色を示されたりすることもしばしば。対して、クラウドファンディングは無事目標金額を達成。支援者からも温かいコメントが寄せられました。

鈴木さん「国際宝飾展は日本最大の展示会です。業界の最前線で『宝石』『ジュエリー』とは何なのか、その実情を知ることができた点は大いに学びがあったと感じます。『Re.Juile』の立ち位置、方向性もより明確になりました。確かにこの商品は『宝石』『ジュエリー』と呼ぶものほどの価値は見いだせないかもしれません。けれど『タイル』の価値を数倍、数十倍に引き上げることはできるのではと感じます」

 

プロジェクト期間中のあれこれを聞き、結果として大きな成果を得られたのではとの印象を受けました。しかし鈴木さんは「プロジェクトメンバーの関係性づくりに関しては、難しさを感じました」といいます。というのも、コミュニケーションツールとしてメッセンジャーアプリを使用していたため、文字でのやりとりを重ねる中で、“すれ違い”が生じる場面も少なくなかったのだとか。

 

鈴木さん「お互い真剣だからこそ、感情が前に出てしまったり意図を読み違えてしまったりすることもあって。兼業人材と当社の社員、それぞれの都合の良い時間に顔を合わせるとなると調整が難しく、頻回に顔を合わせる必要もないのではとの意見があったので、オンライン会議を行ったのも数える程度でした。今思えば、もっと顔を合わせる機会を作って雑談もまじえたコミュニケーションが取れればすれ違いも起きにくくなったのではと感じています」

 

「もっとこうすれば」という言葉が出てくるのも、それだけ内容が充実していたからでは、とも取れます。取材の最後に、「プロジェクトを通じて、社外の人と働く大変さと面白さを経験できました。最初は不安もありましたけれど、改めて『経験する』ということの大切さを感じましたね」と話した鈴木さん。その言葉のとおり、ほんの少しでも興味があればまずは「やってみる」ということが、新たな発展や発見のきっかけになるのでは、と感じました。

 

  プロジェクト結果概要
■人材の条件
・関わり方:兼業
・頻度:月1回程度のオンラインMTG、チャットツールでの進捗確認
■必須条件や歓迎条件
A:クラウドファンディングのマネジメント
・クラウドファンディングの経験がある方
・チーム全体の進捗管理ができる方
B:クラウドファンディングに向けたPR活動
・PRの実務経験がある方
・コンサルではなくPRに際して実働してくれる方

■兼業者の経歴
1人目:出版業界での編集経験をもとに、インディペンデント出版社を主催。 クラウドファンディングの経験有。
2人目:本業は機械系エンジニア兼プロジェクトマネジメント。副業でライターとしても活動している。
■コーディネーターの役割
プロジェクト設計、人材の受け入れ条件の設定について企業のサポートを行った。
マッチングの際はチームビルディングについてアドバイスを行い、想定通りの人材を採用することができた。
■結果
新ジュエリーブランド立ち上げのためのクラウドファンディングを実施。
目標金額300万を上回る3,120,501円を達成した。クラウドファンディングの企画・取材・執筆を兼業者が実行した。
https://motion-gallery.net/projects/nanayosha

※「令和3年度中部経済産業局における地域中小企業・小規模事業者の人材確保支援等事業(次世代プロジェクト共創人材確保事業)」によりプロジェクト支援を実施

 
※本記事はNPO法人G-netが中部経済産業局「令和4年度中部経済産業局における地域中小企業・小規模事業者の人材確保支援等事業(次世代プロジェクト共創人材確保事業)」の委託を受けて作成しています。