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みやまWorking Style Jam 〜イベントレポート〜 | ふるさと兼業

みやまWorking Style Jam 〜イベントレポート〜

みやまWorking Style Jam 〜イベントレポート〜

3月9日(土)に京都で行われたイベントにG-net代表の南田が登壇致しました。当日の様子がレポートとして掲載されていましたので、ふるさと兼業のサイトでもご紹介致します。

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以下、京都移住計画さんより転載(許可を得て転載しています)

みやまWorking Style Jam 〜イベントレポート〜

働き方改革や副業元年というキーワードが注目される昨今。新しい働き方や生き方が広がるなか、副業、兼業、パラレルワークなど、「移住先の企業に就職する形」とは違った「地域に関わりたい、働きたい」という想いを実現する手段が生まれつつあります。

そこで、仕事を通じた地域との新しい関わり方を皆さんと考え、共有する機会をつくるため、『みやま Working Style Jam 〜 都市×地域の新しい暮らし、働き方を考えるトークイベント〜』が開催されました。

京都府南丹市美山町は、かやぶきの里が有名な自然豊かな場所。『南丹市美山エコツーリズム推進協議会』が中心となり、昔ながらの自然と伝統を守りながら、観光を通じた地域活性化をはかる『エコツーリズム』を実践しています。

今回のイベントは、南丹市美山エコツーリズム推進協議会が主催となり、京都移住計画・代表の田村がコーディネーターとして参加。また、美山町の事業者の方々と『NPO法人 G-net』代表の南田 修司さんをゲストにお招きしました。

2019年3月9日、京都『TRAFFFIC』にて行われたイベントレポートを通じて、美山という地域や生まれつつある新しい地域との関わり方について触れていただければと思います。

美山町の誇りを次世代につなげる

最初にご登壇いただいたのは、一般社団法人『南丹市美山観光まちづくり協会』の青田 真樹さん。美山町の全体像について教えていただきます。

美山町があるのは、京都府の中央付近。全体の96%が森林で、茅葺き屋根の民家が残る里山風景が有名です。京都市内は車で1時間半ほどの距離。都市部から比較的短時間で昔ながらの自然や街並みを感じられる場所として、年間の訪問者数は約90万人。その2割は外国人で、四季折々の食や風景を楽しみに訪れています。

その一方で、「美山町には課題もある」と青田さん。

1つ目の課題は、美山町の人口。現在は約4,000人ですが、20年後には3,000人を下回るだけでなく、6割が高齢者になると予想されています。

2つ目の課題は、観光客1人当たりの消費金額。京都市は約2万円なのに対して、美山町は約940円です。宿泊する人や利用できるサービス・商品の少なさが要因として考えられており、青田さんは「観光資源はあるけど観光商品がない、地域そのものが消費されている」と危惧しています。

これらの課題に向き合うため、美山町では「日本一の田舎を目指す」をキーワードに、30年前からまちおこしに取り組んできました。南丹市美山観光まちづくり協会が2016年に設立されたのもその一環で、観光によるまちおこしを組織的・戦略的に取り組んでいます。

美山町のまちおこしについて、「私たちが大切にしているのは、まちおこしの活動を通じて美山町の誇りをどのように次世代に残していくかということ。訪れる人、迎える人、お互いが美山町の魅力を深めていける取り組みをしていきたいと思っています」と青田さん。現在、南丹市美山観光まちづくり協会では新しい仲間も募集しているので、興味のある方は求人記事もチェックしてみてくださいね。

日本中がパートナーになる『ふるさと兼業』

観光産業を主軸としたまちおこしに取り組み、美山町の観光客数は大幅に増えました。一方で、移住や継続的に関わってくれる人とのつながりは、まだまだこれからなのが現状です。

これまでと違った切り口で関わる人を増やせないか。その可能性のひとつがNPO法人 G-netが取り組む『ふるさと兼業』です。代表の南田 修司さんにご登壇いただき、詳しくお話をお聞きします。

岐阜県に拠点を置くNPO法人 G-netでは、長期実践型インターンシップ『ホンキ系インターン』、地域企業の右腕人材に特化した就職採用支援事業『ミギウデ』などを通して、地域の活性化に取り組んでいます。

そして、パラレルキャリア事業として始まったのが『ふるさと兼業』。応援したい、挑戦したい地域や企業にプロジェクト単位でコミットできる兼業プラットフォーム。スキルや経験を活かして、移住しなくても地域に関われる新しいワークスタイルです。

「ふるさと兼業でプロジェクトの仲間を募集するときに大切にしているのは、誰が、何のために、何に挑戦しようとしているのかを伝えること。そこに共感が生まれ、熱意を持った人が応募してくれる。“人を集める”のではなく、“人が集まる”ための取り組みです」

例えば、岐阜県の枡メーカーが募ったのは『伝統の枡×建築という新市場の初動を起こすプロジェクト』。

募集した結果、枡メーカーの想いに共感した4名の外部パートナーが集結。週1日のオンラインミーティングをしながら、月1回は顔を合わせて、内装材としての枡のメニュー開発に取り組み、3ヶ月で3件の受注が決まったそうです。

2018年の開始から約1年。現在は16地域と連携し、約100人の社会人と地域のつながりが育まれています。南田さんは「夢や困りごとの数だけ伸び代がある」と希望を示します。

「これからはどの地域、どの企業に所属しているかではなく、何のプロジェクトにコミットしているかが問われる時代になると思います。人を集めるのではなく、人が集まるという視点で取り組めば、日本中が自分たちのまちを支えるパートナーになりますよ」

参加者同士で感じたことを共有する時間では「知識やスキルを持ち寄ってひとつのプロジェクトを成し遂げられる仕組みは革新的」という称賛がある一方で、「貢献できるスキルがあるか分からない」という不安の声も挙がりました。

これに対して、南田さんは「ふるさと兼業はスキルシェアではなく、共感と熱意からはじまるプロジェクト。求めているのは、地域や事業のことを愛してくれる人です」と応えていたのが印象的でした。

続いては、美山町でご活躍されている事業者の方々にご登壇いただき、取り組み内容を通じた美山町の魅力や課題感について伺います。

事業紹介①:美山ふるさと株式会社

最初にお話いただいたのは『美山ふるさと株式会社』の大野 琢馬さん。大野さんご自身は美山町出身で、大阪市内のイベント会社に勤めたあとUターンしました。

美山ふるさと株式会社では『美山牛乳』を製造しており、シュークリームやソフトクリームなどの加工乳製品も人気です。また、観光宿泊事業として『美山町自然文化村』を運営しており、大野さんはその支配人です。

最近ではインバウンドの滞在者が増えており、「道端の雪を見ただけでも感動して、子どもたちが喜んで遊んでくれるんですよ。何を魅力に感じていただけるのか、どんなことに感動していただけるのか、おもてなしする私たちも驚きの連続です」と話します。

ログハウス調の宿泊施設『河鹿荘』の運営や芦生原生林のネイチャーガイドも行なっている美山ふるさと株式会社。現在、新しい仲間も募集中。「仕事ありきではなく、美山町に魅力を感じていただける方とお会いしたいですね」と大野さん。気になる方は採用サイトをチェックしてみてください。

事業紹介②:有限会社かやぶきの里

続いては、『有限会社かやぶきの里』の代表取締役 勝山 直さん。国の重要伝統的建造物群保存地区『かやぶきの里』に併設されている施設の運営を行なっています。

お土産処『かやの里』をはじめ、手打ち蕎麦のお食事処『きたむら』、地元原産のもち米を使ったお団子やソフトクリームが人気の『きび工房』、茅葺き屋根の民宿『またべ』など、観光客にとって欠かせない施設ばかりです。

また、かやぶきの里の眼下に広がる農地も管理しており、お米の生産や手づくりのお餅も販売。そこで、土日祝日や農作業が必要な時期の人手を求めています。食や畑仕事に興味のある方はWEBページなどからお問い合せいただければ、ご相談に乗っていただけるそうです。

事業紹介③:料理旅館 枕川楼

最後にお話を伺ったのは、『料理旅館 枕川楼(ちんせんろう)』の長野 豊さん。1950年に美山町に生まれ、大阪にある料亭で修業の後、枕川楼の3代目当主として家業を担い、1993年からは社長を務めながらも現役で調理場に立っています。

長野さん曰く「美山は四季を食す」。明治36年に開業した枕川楼では、鮎、山菜、猪肉など、旬の食材を使った料理を提供しており、国内外の観光客から親しまれています。

また、枕川楼では仕込み料理やお客様係を手伝ってくれる方を求めています。昨年実施された、みやまTWSでも同じような職場体験が行われました。長期休みなどの時期限定での働き方も相談できるとのこと。空いた時間を使って旅館や料理に関する仕事に携わってみたい方におすすめですよ。

美山町との働き方や関わり方の可能性

最後のクロストークでは、ゲストの皆さんにご登壇いただき、移住や就職だけではない、美山町との働き方や関わり方の可能性を考えます。

まず、話題に上がったのが「プロジェクトをつくる上で大切にしたいこと」。南田さんは「企業の人たちがやりたいと思っているけれど、手がつけられていないことが大切です」と説明します。

美山町の皆さんにとって、『本当はやりたいけれど、できていないこと』とはなんでしょう?

大野さんは「プロモーションの部分が弱い、素材はたくさんあるけれど、切り口が乏しく魅力に感じてもらえていない」と観光商品のクオリティに課題感を示します。

一方で、長野さんは「調理場や客室係りを手伝った上での新しいサービスづくり」、勝山さんは「お餅やお団子をつくる担い手不足」と、直近で人手が足りないという共通の声が挙がります。

各事業者のお話を受けて、「来たくなる仕組みを外部の人と一緒につくるのが大事」と南田さん。例えば、現在とある地域と取り組みを検討中の計画。「GWの人手が足りないときに旅行に来てもらい、日中はランチのアルバイト、夜間は地元の人が地域のディープな場所を案内するというプランが実現できないか話をしています。地域で稼いでもらって、地域にお金を落としてもらう設計になっています」と紹介されていました。

実際に地域での仕事を行うために試行錯誤されているという参加者の方からは、期間限定での地域での関わりを実現するため、ハード面での課題に対する声がありました。

「例えば、枕川楼でお手伝いしようと思っても、滞在するのって難しいですよね。2週間の宿泊費はもちろん、町内を移動するには車が必要で、レンタカーを借りるには相当の金額がかかる。魅力的なコンテンツがあるのに、具体的に行動しようと思っても行き詰ってしまいます」

2週間ほど滞在してお仕事の手伝いをしたいと思いましたが、現実的に難しいと諦めてしまったのだそう。利用者側の切実な意見を受けて、青田さんは課題解決の必要性を改めて胸に刻みます。

「中・長期的に関わりたいと思ってくれている人はたくさんいますが、受け入れる側の体制が整っていないのが正直なところ。みやまTWSのような滞在型プログラムを今後も取り組んでいこうと思っています」

最後に、青田さんから参加者に投げかけられたのが「移住や地域に関わりたいと思ったとき、どんなハードルがあるのか?」という問い。グループディスカッションを経て、「地域の人との関わりについて、ハードルの高さを感じている」という意見が挙がりました。

「田舎に行けば行くほど、人との繋がりが大切になってくると思います。でも、消防組合に参加しないといけなかったり、私のようにお酒が飲めないと、上手く馴染めないのではと不安です」

女性参加者の意見を受けて、長野さんは「確かに私たちの世代は移住者が浸透できない雰囲気もありました。でも、30〜40代、私の娘の世代は変わってきています」と応えます。

例えば、『つなガール美山』では、美山出身者や移住者を含めたコミュニティで移住者の受け入れ体制をつくっているそうです。長野さんの娘さんもメンバーで「もしよろしければご連絡ください、娘にお話を伝えておきますので」と素晴らしい対応に拍手が起こりました。

クロストークを終えたあとは、ゲストと参加者を交えた交流会。「ふるさと兼業という新しい可能性との出会いに興奮冷めやまない」という人もいれば、「熱意が大事とはいえスキルがないと関わるのは難しい」とハードルの高さを感じる人もいました。

背中を押された人、迷いを感じた人、それぞれが抱いた感想は十人十色。そこから、「どうしたらいいかな?」「こんなことができたら面白そう!」といった、美山町に関わる前向きな意見も交わされ、イベントは幕を閉じました。

働き方や生き方に疑問を抱いているのなら。まずは、ご紹介した事業者で短期的のお手伝いをしてみたり、イベントに参加してみたり、または、ふるさと兼業のサイトを覗いてみてください。その先で、自分ならではの関わり方ときっと出会えると思います。

記事の作成に関わってくれたクリエイター

photo by 熊谷 真希子

 

転載元記事:都市×地域の新しい働き方・暮らし方を考える みやまWorking Style Jam 〜イベントレポート〜

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今後も色んな地域・場所でふるさと兼業をアピールしていきたいと考えておりますので、ふるさと兼業に興味のあるイベンターの皆様、ご興味がありましたら是非、お問合せをくださいませ!