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【開催レポート】「ローカル兼業の現在地と未来」を開催しました。

【開催レポート】「ローカル兼業の現在地と未来」を開催しました。

2020年2月8日(土)にNPO法人G-netが経済産業省の補助を受けて、
Nagatacho GRiDにて
「ローカル兼業の現在地と未来」を開催しました。

今回は有難いことにキャンセル待ちを含む180名を越える申込みをいただき、
当日は定員の枠を増やし120名近い方々にお越しいただきました。

この規模での東京会場のイベント企画は初めての試みで、直前までドキドキしながら
準備をしておりましたが、たくさんの方に足を運んでいただき本当に嬉しかったです。

ご参加いただいた皆さま、テーマに関心を持ってくださった皆さま、
登壇を快諾をくださったゲストの皆さま、ありがとうございました!

 

遅ればせながら、今回のイベントの熱量が伝わればと思い、当日の様子を
この場にてご報告させていただきます。
よろしければ最後までお付き合いいただけますと幸いです。

 


 

セッションⅠ「ローカル兼業の現在地と未来」

こちらのセッションでは、地域と都市部、または大手企業と地域企業を繋ぐ
コーディネート機関の立場から、地域の副業兼業の可能性や課題について深掘りを行いました。

◇中村 圭二郎氏 SMOUT(カヤックLiving)
◇亀井 諭氏 JOB HUB TRAVEL(パソナ)
◇伊藤 順平氏 YOSOMON!(ETIC.)
◇錦見綾 ふるさと兼業(G-net) 

 

それぞれの形の 地域×都市

 

SMOUT

中村/SMOUT  面白法人カヤックの子会社、カヤックLivingにて「好きに暮らそう。好きな場所で。好きな時に。」をコンセプトとしたSMOUTというサービスを運営しています。このサービスは、移住者を募集している地域がプロジェクトを掲載し、そこに移住したい方や地域に関わりたい方々をマッチングしています。ぜひ会員になっていただいて「興味ある」ボタンを押していただくと、スカウトの連絡がたくさん届きます。

JOB HUB TRAVEL

亀井/JOBHUB  パソナJOBHUBで「旅するように働く」をコンセプトとしたJOB HUB TRAVELというサービスを展開しています。地域で想いを持って活動されている企業と地域に貢献したいと思っている人材をマッチングする事業を展開しており、北は秋田から南は鹿児島まで、全国10地域でプロジェクトを進めさせていただいております。 

YOSOMON!/GYOSOMON!

伊藤/ETIC.   NPO法人ETIC.で「地域で働くをもっと身近に」をコンセプトに、副業で東京から地方の会社に携わっていこうということでスタートしたYOSOMON!と、昨年から始まったGYOSOMON!という副業の報酬を「魚払い」するというユニークな副業を展開しています。このような形で、都会と地方を面白く繋げていきたいと思っています。

ふるさと兼業

錦見/G-net  NPO法人G-netで「共感と熱意から始まる兼業・プロボノマッチングプラットフォーム」をコンセプトとしたふるさと兼業を展開しています。私たちは共感と熱量でのマッチングを大事にしています。そして、自ら兼業者としてふるさと兼業の立ち上げを経験しているので、本日は色々な視点でお話できたらと思います。

 

―まずは、各サービスの良い事例や実績をご紹介いただきたいです。

 

伊藤/ETIC. 包装機器をつくっている企業さんが、製品を外に発信していくためのHPを開設しようとされていたのですが、発信するにあたって自社の強みが分からないという課題を抱えていました。そこに副業の方がファシリテーターのような形で参画されて、企業さんとのお話から様々なエピソードを聞き出していく中で企業の強みを発見して、それを実際に外に発信していくという動きをされていました。外から見たからこそ、その企業の良さが分かるという事例でしたね。

 

亀井/JOBHUB 広島県安芸高田市で、掲載案件に対して人材側から逆提案をするというスタイルの「複業で、ご縁むす部」というプロジェクトをやって、15社が参加してくれたのですが、それに対して75の提案が来たんです。企業さんからすると、普段中々注目されることのなかった企業さんが、都市の且つ安芸高田に関心を持っていただいている方から提案が来たということで、非常に喜んでいらっしゃいましたし、技術も得られました。また、このように共通のコンセプトを元に地域の中で取り組むことで、企業同士のコミュニティができて、地域全体でプラスの効果があると感じました。

 

錦見/G-net 三重県の鋳物屋さんでの商品開発のプロジェクトで経営者の方に言われたことがとても印象に残っています。その経営者は私たちと同世代で、3代目になります。今までは仲間内に「これをやりたい」と言うと、みんなに「何を言ってるんだ」と言われていたそうなのですが、兼業やプロボノで入られた方々が「それ、いいですね!」と一緒になって実現するために考え・動いてくれる、それが何よりも嬉しいと。1人では挑戦し続けられないときもありますからね。仲間ができるというのはこの4社どのサービスにも共通して言えることかもしれません。

 

中村/SMOUT 新潟県湯沢町で、共同浴場の管理者の募集をすることになった時に、ある事業者さんがその募集ページをすごく素敵に編集して僕らのサイトに掲載してくださったんです。そうしたら、共同浴場の管理者というと通常はご年配の方が住み込みでやられているイメージがあるのですが、今回そのプロジェクトにはお風呂でコミュニティを活性化させたいという20代の若者が応募してくれたんです。僕らは「ローカルエディター」と呼んでいますが、地域の情報を編集してそれを食べやすくして発信してくれる人がいることが大切だなと感じました。

 

コーディネート機関から見た「地域での副業兼業」の課題点

―今の事業の進み具合を山に例えると何合目のイメージでしょうか?

 

中村/SMOUT 山のてっぺんに雲が上にあるようなイメージで、このビジネスのてっぺんががまだ見えていないという状態です。

 

亀井/JOBHUB 副業兼業という意味で言えば2、3合目ぐらいだと思っています。おおむね先が見えてきたのですが、でもその先に次の山が見えてきていて、次の課題が見つかったという所です。

 

伊藤/ETIC. 副業兼業に対する社会の高まりは感じている一方で、僕らは副業兼業の受け入れ先や、副業兼業の機会自体が中々広がっていかないなという中で、まだまだこれからという印象です。

 

錦見/G-net 目指す社会はあって、手探りでそこに向かっているイメージがあります。そういう意味では、山自体をみんなで作っている感覚です。1つずつ既成事実をつくっていくような。参加する人、企業、コーディネートする私たちで、それぞれのバックボーンの土を持ちよって、山を作りながら登っているところです。

 

―なるほど。皆さん同じくこれから頂上をどこに据えて登っていくかという段階なんですね。
 今その山を登っていく中で、見えてきている事業の課題はどんなものでしょうか?

 

亀井/JOBHUB 課題は2つあって、1つは地域コーディネーターがいない地域ではサービスを展開することが難しいということ、2つめは企業と人材のチューニングです。中には “安く労働力を得られる”と認識する企業さんもいて、それは僕らがやっているコンセプトにはそぐわないので、そういう事は人材の方にも企業さんにも意識してお伝えするようにしています。

 

錦見/G-net 企業さんのプロジェクトに成果を生み出すという観点では、企業と人材のマッチング後のフォローも重要だと思っています。コーディネーターがプロジェクトに第三者的に参画し、必要に応じて舵取りをするときもあります。ふるさと兼業は、全国20か所で、地域で信頼されているコーディネート団体とパートナー契約を結んで、地域ごとにコーディネーターがプロジェクトサポートを行っています。

 

伊藤/ETIC. コーディネーターを増やしていく事も大事ですが、最近考えているのは、副業兼業で企業に入ってく人材がコーディネーター的役割を担えないかと考えています。もちろん地域に住み込んでという形ではないでしょうけれど、ある種コーディネーター的なスタンスや視点で、企業に入っていくことができないかと考えています。

 

中村/SMOUT コーディネーターというか「地域で信頼されている人」をどう出来るだけ早く見つけるかというのは我々も課題と感じています。でも、コーディネーターがいない地域でもものすごく人の動きがある地域があるんです。それは一般的に言うと「コミュニティがある地域」という言い方が出来るんですが、世代間交流をしている場がある地域は、カリスマがいなくても情報が回っていけるという印象があります。

 

それぞれが目指す世界観

 

―今後の描いている展開、それぞれどのように社会に広めていきたいと考えられているか是非教えてください。

 

中村/カヤック 我々としては「元々地域に興味はなかったけれど、ある情報と出会って、地域に行ってみました」みたいな、そういう偶然の出会いを増やしていきたいと思っています。

 

亀井/JOBHUB 他のサービスもそうだと思いますが、スキルのマッチングより人と人のエモーショナルなマッチング(エモいマッチング)をやっていきたいです。

 

伊藤/ETIC.様々なサービスが増えてきていると思うけれど、あまり「競合」という形にはしたくなくて、どんどん経済のパイを奪い合おうという事は全然思っていなくて。そういう意味で、我々としてはGYOSOMON的な動きを進めていきたいと思っています。今は人材側も企業さんもおもしろがって参加してくれていて、そういう受発注じゃない関係性を作りたいと思っています。

 

錦見/G-net スキルマッチングも、共感マッチングもどちらもあっていいと思っていますが、ふるさと兼業では、その先に熱量のマッチングをしたいと思っています。企業も参画する人材も、熱量がMAXになるような機会をつくる、そうすることでプロジェクトも加速しますし、その中で「仕事の楽しさを思い出した」と言ってくださる参画者もいます。

また、この副業兼業の動きがブームではなく、よりスケールしていくために私たちコーディネート機関は、金融機関や商工会議所と連携を深めて取り組んでいけたらと思っています。経営支援と人材支援を、役割分担しながら併行してやっていくことが重要だと思います。

 

―どんな出会い、マッチングを生み出せるか。関係性、繋がり方にこだわる点は共通しているんですね。
 最後に、これから事業を展開していく上で譲りたくないこと、大事にしたいことはなんでしょうか?

 

中村/カヤック 私はフラットな関係性の世代間交流を増やしていくことが大事だと思っていて、そのための場をつくっていくことがポイントだと思っています。

 

伊藤/ETIC.我々は今、これまでの組織と企業という繋がりを新しくデザインしようとしているフェーズにいると思うんです。その新しいことに今挑戦しているんだという意識が大事だと思っていて、だからこそ「失敗することもあるだろうけど、皆でなめらかにやっていこうね」という気持ちや心意気が大事だと感じています。

 

亀井/JOBHUB 共通の価値観で集まったばらばらの地域・年代のコミュニティが重要になってくると思っています。

 

錦見/G-net 個人も企業も、なぜこうした働き方を選択するのか、この機会が自分にとってどういう価値があるのかをよく考えてもらえたらいいなと思います。それぞれの「期待値に応えられる関係性」が、この仕組みを支えている気がします。

 

 セッションⅡ「地域×兼業実践報告会」

このセッションでは、兼業人材を受入した地域の中小企業による事例報告及び、参画した兼業(プロボノ)人材によるリアルな声を聴くことで、地域での兼業の実態に迫りました!

◇伊東 大地氏 有限会社大橋量器  
◇佐藤大介氏 
◇鈴木利弘氏 
◇岡田拓朗氏 

 

「ふるさと兼業」の事例紹介
 
 
 

伊東/大橋量器 大橋量器は岐阜県大垣市で創業70年を迎える枡専門メーカーです。枡は業界全体で衰退産業ですが、新たな価値提案として“内装材としての枡”を新規事業として取り組むことになり、それに伴って兼業を募集することとなりました。基本は週1回のオンラインミーティングと、時々現地に来ていただいたりしながら進めていきました。最終的には3か月の期間の中で営業資料を作成していただき、これを使った営業で実際に案件獲得にも繋げられています。また、内装材としての展開を行っていくためのパートナー企業が必要という中で、企業のリストアップや提案資料などもプロボノの方と一緒に作っていきました。そして直近はMASPACIOという枡の内装材ブランドを立ち上げており、こちらもプロボノの方と一緒に作成しているところです。このように様々なフェーズで、1年半の間に10名程度の兼業/プロボノ人材を受け入れました。

外部人材を入れて良かったことは社内で進めるよりも推進力があるということです。弊社の社員がもっていない専門性であったり、得意分野であったり、人脈を活かしていただき、一緒にやってこられたと思っています。募集には多種多様な方が集まってきていて、今後は兼業副業人材のコミュニティを築いていけたらと思っています。

 

佐藤 私は青森県青荷温泉のプロジェクトに参画しています。立ち位置はライターの募集でしたが、実際に入ってみたら根本的に変えなければいけないことが沢山見えてきて、応募で集まった多種多様な方々と解決策をディスカッションをしながらワクワクしているのが現状です。

 

岡田 私が参画した谷常製菓のプロジェクトは、新しくイチゴ菓子のブランドを立ち上げるにあたってのSNSの広報という募集となっていました。元々趣味でドラマや映画のレビューをSNSで発信することが好きで、気が付けばフォロワーが約3万人まで上っていました。それを仕事にできないかと思いはじめ、昨年個人事業主として独立しました。そういった中でSNSマーケティングの仕事を探していたところ、このプロジェクトを見つけました。

 

鈴木 私は普段は公共セクターとして勤務しているので、プロボノという形で大橋量器さんのプロジェクトに参画しました。私は、先ほど紹介されたMASPACIOというブランドの立ち上げで参画をしていて、ブランド名やロゴを決め、大橋量器の内装材に対するストーリーをつくり、それをカタログやHPにまとめるというようなことに取り組んでいました。

 

実際に兼業を経験した3人のリアルな声 

 

―参画する際に、「自分は本当に役に立てるのだろうか」というような不安はなかったですか?

 

岡田 僕の場合は、今までやってきたような“レビューをする”とは異なって“商品の魅力をどう伝えるか“という新たな視点が必要でしたし、今までやってきたことが横展開で通用するのかという不安はありました。でも、実際に運用していく中で、それが成果として繋がってきた時に自信に変わっていきました。

 

鈴木 私は同時期に入った方々がバリバリの専門職だったことを知ったときに、少し不安には思いましたが、「自分には何ができるのか」をよく考える機会になったので、その中で不安を解消していきました。

 

佐藤 多種多様な方々がいらっしゃるので、その中で役割分けができるんです。医者で例えると検診する役目の人と、実際に病状を治す専門医。患者はなんだか調子が悪いけれど何が悪いのか分からない。そこにいきなり専門医が来ても、疑わしく思われてしまうかもしれませんが、間に検査医が介入することでそこに信頼が生まれます。私の場合は、自分が月に1回しか現場にいられないこともあって、その中で何ができるかを考えると、自分が治すのではなくて繋いであげる役目なのではないかなと考えています。

 

―こう聞いていると、3人とも自分事のように話されている印象を受けるのですが、
 何がきっかけでプロジェクトが自分事として捉えられるようになっていったと思いますか?

 

佐藤 当時の本業の仕事が自分のやりたいこと方向性がずれ始めた時に、独立して自分の会社をつくって、食べていくことはできました。でも、兼業やプロボノでやっている活動は「しぶしぶ」とか「忖度」とか「やらなきゃいけない」ということが無くて、自分が本当にやりたくてやっていることなので、一番自分らしくやれるんです。そういう中で、これが自分にとってはメインで、一番大事だという想いに気がついたら、自分事になっていました。

 

―本当にやりたいことをすることが自分事に繋がっていくんですね。
 地方に行って感じた難しさやギャップはありましたか?

 

佐藤 ギャップはもちろんあるけれど、彼らは“出来ないのではなくて知らないからやっていないだけ”なんです。その伝え方が大事で、どう伝えたら納得して“やらなきゃ”と思ってくれるかというコミュニケーションや、それを伝えられる人間関係を構築することが大事だと思います。「一緒に解決していきましょう」というスタンスであって、一方的な助けではないんです。こちらも本業に生きることが沢山ありますし。

 

―プロジェクトに取り組む前と後でのご自身の変化を教えてください。

 

鈴木 私は本業が公共セクターですので、民間で働くという経験自体が大変勉強になりました。ふるさと兼業の名の通りふるさとが出来ましたし、自分は会社のファンであると自認できるようになりました。

 

岡田 趣味でやっていたことが仕事にもできるという気づきと、リモートワークをする上での企業とのコミュニケーションや連携のとり方がとても勉強になりました。

 

佐藤自分らしさ」を見つけられたというのは大きな違いです。昔は目の前の仕事が自分にとっての全てで、視野も狭くなってしまっていたけれど、そうではなかったのだと気づくことができました。

 

10名もの兼業/プロボノを受け入れて

―プロジェクトを掲載して集まったメンバー間の調整などもあると思うのですが、
 受け入れ側として気をつけていたことや意識していたことはありますか?

 

伊東/大橋量器 プロジェクトのメンバーを見ながら操作していたということはありました。当初想定していた方々とは違う職種の方からの応募もありましたが、それはそれで情報収集や実際に足を動かしていただく部分をやっていただきましたし、専門的な方が来てくださった時は任せてしまったり、メンバーに合わせてこちらが上手く振ってあげることが大事だなと感じています。

 

―受け入れ側による参加者に合わせたマネジメントは大事なポイントなんですね。
 実際に、兼業やプロボノの受け入れをしてみたことによる会社への影響と今後の展望を教えてください。

 

伊東/大橋量器 当時はまだ入社3か月目で、兼業で参画してくださった方々は自分よりも先輩達ばかりという中で、なんだかお兄ちゃんお姉ちゃんがいてくれるような感覚でした。今後は皆で作ってきたものを、“案件を作ること”で成果を出していきたいと思っています。それは、もちろん会社のためとも思ってやっていることですが、参画してくれた彼らへの恩返しのためにやっているという気持ちもあります。

 

 ファシリテーター 兼業やプロボノには“自分らしさを確認する”という側面もありますので、ぜひ“やりたいこと”を決める前でもコーディネーター団体に相談していただいても構いませんし、ぜひ兼業で「自分らしさ」や「経験の幅」を広げていってほしいと思っております。

 

 セッションⅢ「兼業解禁、そのニーズと可能性」

このセッションでは、3名のゲストと共に、大手企業の兼業解禁に向けた議論をしました。
兼業副業の動きを大局的に捉える視点を持ちながら、兼業という働き方が個人・送出す企業・地域に与える可能性を探りました。

◇田中 文隆氏  みずほ情報総研株式会社 社会政策コンサルティング部 課長
◇太谷 成秀氏  ONEX ふるさと兼業プロジェクト ディレクター
◇森本 卓也氏  経済産業省経済産業政策局産業人材政策室 室長補佐

 

兼業解禁の背景で起きていること

 

―近年の企業の兼業解禁の動きには、どのような背景とニーズがあるのでしょうか?

 

田中 会社の中でずっと人員を抱え込んでいくことが難しいという背景と、今までの商売の仕方では食べていけないという会社としての危機感があると感じます。

 

太谷 転職する人が増えている中で、本業だけではなく自己実現や成長する場が必要だということが叫ばれてきていています。その中で、転職との間の選択肢として兼業を推進することで、会社をやめる人が減ったらいいという考えです。また、自社の経験だけでイノベーションを起こすには難しい現状の中、兼業制度を作ることで外部の人や地域と繋がってオープンイノベーションを起こそうという目的があります。

 

―会社をやめていく人が増えているというお話でしたが、仕事に「自分らしさ」を求める傾向の背景には何が起きてきていると思いますか?

 

太谷 自己実現の意味では、本来やりたい業務とは違う業務をしなくてはいけないという事に対する不満や、自分の部署の決まった業務しかできない事に、成長の幅や今後のキャリアを不安に感じるのだと思います。そういった中で、本業から一歩足を踏み出して兼業を経験することで、やりたいことが見つかって、“社内のための仕事”ではなくて、“人や社会のため”の仕事ができた時に、シンプルに言うと表情が変わってくる方が多いです。

 

“地域での兼業”の意義と価値

 

―キャリアチェンジや成長のために社内を飛び出すといったような「越境」の意味ってどこにあるのでしょうか?

 

田中 越境というか他流試合だと思っていて、一定の範囲の中で働くには自分のスキルにそれなりの自己肯定感があったけれど、それが外の土俵でも通用するのかという学びだと思っています。

 

太谷 自分のWill・Can・Mustを考えた時に、兼業に取り組む中で社外の人の多様な価値観に触れていく過程でwillが見えてきて、Canは本業ではできない業務が経験出来たことや人脈が出来たことで幅が広がり、そして一番企業に強く認識いただきたいのはMustで、本業の質が上がることです。先ほどのCanにも繋がりますが、本業では得られないスキルを磨けることや、様々な人と繋がることで、それが本業の仕事に繋がってきます

 

―なるほど。大手人材の社外でのキャリア・スキルアップの側面から見ても、今後さらに大手の兼業解禁が進んでいくとした時に「地域」での兼業との相性はどのように感じられていますか?

 

田中 まだまだお互いの固定観念が払拭できていないと感じます。地域では必ずしも大手の方の専門的技術が求められているというわけはなく、社長の発言に“つっこめる”だけでも価値があるんです。大手の人が自分が何で役立てるのかを分かってないパターンも多いと思います。そこの手当てをしていくことも大事だと思っています。

 

―最後に、人材流動と交流をポジティブに増やしていくためにはどうしたら良いのでしょう。

 

森本 失敗してもいいから一歩を踏み出して、違うと思ったらやめられるという何でも挑戦できる環境を作っていくことが大事だと思っています。

 

太谷 正解を知っている人はいないので、同じ志をもった人たちで継続的に集まって、輪をひろげていくことが大事ですよね。

 

終わりに

 

今回はかなりインプット重視のコンテンツ設計をしておりましたが、
それでも多くの方から「面白かったです!」とお声がけいただきました。

 「買い手市場の中、企業(受け入れ側)の開拓が現在の課題であると感じました。
  企業開拓していく際にコーディネーターの存在意義がとてもあると感じました。」

 「実際の受け入れ企業・人材双方の話が聞けて良かったです。
  大橋量器さんの取り組み、熱量マッチングで参画した鈴木さんなど、想いのもとに人が集まるんですね。」

 「経産省の方の話が聞けて興味深かったです。
  セカンドキャリアという意味で兼業を考える、またそのために兼業したときに
  自分たちの力をどう伸ばすかというところに焦点を当てて考えることが大事だと思いました。」

参加者の方々からこのような感想をいただいています。

 

このイベントを経て、「兼業解禁に向けて相談したい」「関係人口の取り組みについて意見交換したい」というお声をいただいたり、実際に「ふるさと兼業」を通してローカル兼業プロジェクトにエントリーされた方もいます。

地域をフィールドにした新しい働き方、地域との柔軟な関わり方を、コーディネート機関だけでなく参加する人・地域企業の皆さんと、一緒に模索しながら進めていきたいと思っています。

愛着あるまちや、共感する事業に本業や拠点を変えずに参画する。そんな動きを加速させていきたいです。

 


<クレジット>

※本事業はNPO法人G-netが経済産業省「令和元年度地域中小企業人材確保支援等事業(中核人材確保スキーム:横展開事業)」の補助を受けて実施しています。